知るともっと着物選びが楽しくなる!着物の柄について その3

着物にある柄や文様にはすべて名前がついていて、全部に願いや祈りなどの意味が込められています。

込められた意味を知ったうえで着物をきこなすと、着物に対する愛着がいっそう増して、着ていてより楽しい気持ちになりますし、着物の柄の意味を知っている相手同士なら、自分の思いを言葉にしなくてもアピールすることもできてしまうんです。

それってとっても粋で上品な自己主張の仕方だと思いませんか。

今回はたくさんある柄と文様の中から、着物の文様としてはもっともポピュラーでよく描かれている、祝いの席なんかに着ていくと喜ばれる「吉祥文様」と、古くから伝わる格調高い「有職文様」について詳しくみていきたいと思います。

華やかでおめでたい「吉祥文様」

吉祥文様とは、良いしるしや縁起物をモチーフにデザインされた文様の総称です。

日本独特のものや、中国から伝わったものものがあって、お祝いの気持ちや願いを込めて着物の柄にとりいれられ、みんなに親しまれてきました。

着るものに願いを込めるという文化は、洋服が普段着となった現代ではもうありません。

ですがラッキーカラーを意識して着るものを選ぶことがあるのは、かつての着物文化の意識のなごりなのかもしれません。

現代では特に婚礼衣装などの和装礼装に、お祝いや幸せを願う気持ちを込めて用いられています。

さて、着物の柄に限らず、おめでたいモチーフというと誰でもいくつかは思い浮かべることができると思いますがどうでしょうか。

鶴、亀、松竹梅なんかはみなさんぽっと思いつくのではないでしょうか。

最近では、携帯電話の待ち受けを美輪明宏さんの顔にしておくと運気が上がるなんて流行が少し前にありましたが、おめでたいモチーフと言われて美輪さんのお顔を思い浮かべた方も中にはいらっしゃるかもしれません。

今着物の柄として定着しているものたちも、もとは一時の流行だったものが、一般に広く広まったことによって定番化したものです。

広く広まるには、そのデザインが美しかったりかわいかったりするということもそうですが、やっぱりおめでたいもの、いわゆる縁起物であったことが大きな要因といえます。

美輪明宏さんの顔も縁起物として世間にもっと広まって、美輪明宏の顔=ありがたい・おめでたいという認識がみんなの共通認識になれば、着物の柄としていずれ文様化される日がくるかもわかりません。

そう考えれば、今ある着物の柄や文様のひとつひとつに意味があって、それを意識して着る人の想いがあったということがわかってきますよね。

吉祥文様いろいろ

鶴・亀

着物の伝統柄」より

「鶴は千年、亀は万年」という言葉の通り長寿祈願を込めた縁起の良いモチーフとして、古くから親しまれてきた図柄です。

鶴、亀ともに、写実的に描かれることもあれば模様のようにデザインされたものまで、さまざまな意匠をこらしたものがあります。

デザインによって、重厚な雰囲気から粋な雰囲気までを演出する、吉祥文様で一番ポピュラーな柄といえます。

松竹梅

四季を通して緑の葉を保つことからその変わらない姿を不老に例えて長寿を願う「松」、3ヶ月で親と同じ身長になるという成長の早さから子どもの健やかな成長を願った「竹」、まだ寒い中どの花よりも先に花をつけることから「いのちの誕生」を意味する「梅」、ひとつひとつにもおめでたい意味がありますが、この3つが合わさると、元気な赤ちゃんの誕生を願うという意味があるのです。

四君子(しくんし)

中国の言い回しで徳の高い人格者のことを君子と言いますが、その君子に必要な資質を「蘭」「竹」「菊」「梅」4つの花のもつそれぞれの性質になぞらえてあらわした柄を「」(しくんし)と呼びます。

「蘭」は春にほのかな香りを漂わせながら咲きます。その気品ある姿で善人に例えられてきました。

「竹」は夏でも青々と真っ直ぐに生えます。中が空洞になっていることから表裏のない高潔さをあらわします。

「菊」は秋を代表する花で、その咲き姿が太陽に似ていることから百花の最上位とされてきました。

「梅」は雪の降る寒い中でも香り高い花を咲かせる強い姿から気品や高貴といった意味をもっています。

この4つの花はそれぞれ四季を代表する花としても古くから題材になってきたことから、「四君子」の柄のある着物は通年着ていただけます。

南天

南天は「難を転じる」といって厄よけの意味があることから吉祥文様として使われてきました。

同じ理由で家の鬼門に南天を植える風習は今でもみられます。

鳳凰

中国からもたらされたもので、日本では飛鳥時代から文様として用いられてきました。

「鳳凰」は伝説上の鳥で、平和な世の中になった時に現れるとされていることから「平和の象徴」とされていて、おめでたいしるしとして定着しています。