知るともっと着物選びが楽しくなる!着物の柄について その5

着物の柄や文様にはそれぞれ名前と意味があります。

今回はたくさんある柄の中から、「生き物をモチーフにしたもの」を見ていきたいと思います。

島国である日本では、お隣の国、中国を通してヨーロッパや他のアジアの国の影響を受けながらも、独自の文化を形作ってきました。

衣装に関しても、そのデザインにおいて独特の美意識をもって発展してきました。

今、私たちが着ている着物にはたくさんの柄や文様がみられますが、生活の道具から動植物、天文現象に至るまで、それらはすべてなんらかの意味付けがされ受け入れられてきた、私たち日本人の生活や意識に深く関わりのあるものでもあったのです。

そこには、「八百万のものに神様は宿る」という日本古来からの信仰である「神道」という考え方が深く根付いていたことによる、あらゆるものを神格化し、ありがたがることができる日本人の性質がありました。

着物の柄や文様の意味を紐解いていくと、私たちのルーツである昔の人たちの、考え方や生活様式に想いを馳せることにつながってゆきます。

着物に袖を通す時、そんな歴史の重みのようなものも一緒に感じることができれば、あなたの着物体験はより深いものになるのではないでしょうか。

かわいいだけじゃない「生き物をモチーフにした柄」

今でも田舎の方にいくと、夜には鹿が食べ物を探しに里へ降りてきたのに出くわしたり、いろんな種類の鳥を間近で見られたりと、生活の中に生き物がいることがあたりまえです。

虫の数も都市部の比になりません。

昔はもっとたくさんの生き物を身近に感じて生活していたのだなあと思うと、生き物をモチーフにした柄が着物にたくさん使われていることにも納得です。

鳥『長寿』『夫婦円満』『邪気払い』

生き物の着物の柄で特に多いのがをモチーフにしたものです。

水鳥なんかが水の上で羽を畳んでいる姿はかわいらしいですし、飛んでいる鳥は神秘的な雰囲気すらあります。

鳴き声はどこか哀愁を感じさせます。

和歌に詠まれることが多かったことからも、日本人にとって身近で季節感のある生き物だったといえます。

長寿」をあらわす吉祥文様としてお祝いの席に着ていく着物の柄などによくつかわれています。写実的に描かれたものは婚礼衣装など重厚な雰囲気のものにもちいられますし、抽象的にデザインされたものはカジュアルな印象の着物になります。

鴛鴦(おしどり)

つがいで仲良さげに生活する姿から、「夫婦円満」の象徴として昔から着物の柄に描かれてきました。ただ実際のオシドリは毎年相手を変えているそうなのですが…。

すずめ

私たちにはもっとも馴染みのある鳥なのではないでしょうか。「豊作」や群れで生活することから「一族繁栄」を意味します。

燕(つばめ)

つがいで子育てをする姿から、「夫婦円満」・「家庭円満」を意味します。

ツバメの浴衣3」より

千鳥

「千鳥」=「千取り」ということで「勝利を願う」意味や、「富貴を運ぶ」意味があります。デフォルメされた千鳥を並べた「千鳥格子」は洋服でもみられる柄ですね。波と合わせた「波千鳥」なんかもよく用いられますね。

千鳥の夏着物」より

孔雀(くじゃく)

サソリや毒蛇などを食べることから「邪気払い」の意味があります。

孔雀柄/N」より

その他にも雉(きじ)、鶏(にわとり)、雁(かり)、烏(からす)など鳥をモチーフにした柄の着物があります。

着物選びの時に、描かれてある柄に鳥を見つけたら、なんの鳥かお友達と当てっこをしてみるのも楽しいかもしれません。