知るともっと着物選びが楽しくなる!着物の柄について その6

水辺の生き物『長寿』『夫婦円満』『出世』

島国である日本は、周りを海に囲まれていますし、川も多かったことから水辺の生き物たちは生活になじみ深いものでした。

どんな生き物がモチーフになったのかを知ることで、昔の人の考えや生活がみえてきます。

長寿」を意味する吉祥文様として中国から伝わり、古くから模様や柄として用いられてきました。

甲羅をデザイン化した模様「亀甲文」は格調高い「有職文様」と呼ばれます。

蛤(はまぐり)は左右二枚が合わさって一つを成しますが、組み合わせが違うと上手く合わさらないことから夫婦の契りの強さを象徴しています。そのことから「夫婦円満」「家庭円満」の意味があります。平安貴族の間で流行った遊び「貝合わせ」から、「貝合わせ文」として貝の内側に絵が描かれた柄があります。

鯉(こい)

「登竜門」という言葉を聞いたことがあると思いますが、中国では、鯉が龍門の滝を昇りきったら龍になるという伝説があり、それが語源になっています。

このことから「出世」を意味する柄として、七五三の男児の着物の柄などに使われることが多いですね。

金魚

幸福と豊かさの象徴として縁起のよいものとされてきました。「金運」の意味があります。また、色によっても意味があって、赤い金魚は「幸福」、黒い金魚は「邪気払い」の意味があります。

海老(えび)

腰が曲がっても飛び跳ねることから「不老長寿」の意味があります。

その他の生き物/架空の生き物

蝶々

幼虫からさなぎを経て成虫になることから「不死」「不滅」の象徴とされ、「蝶」=「長」という語呂合わせからも「長寿」をいみする柄としてもちいられてきました。

兎(うさぎ)

繁殖力の強さから「繁栄」「豊作」の象徴とされてきました。

飛び跳ねる姿から「飛躍」「出世」という意味があります。

神様の使いとして信仰の対象になっている地域もあるように、古くから神聖なものとして図柄にとりいれられてきました。

うさぎ浴衣~☆」より

鹿

神の使いとして神聖視されてきた鹿。中国では「長寿」を象徴する生き物としてあつかわれてきました。

今日の着物」より

中国から伝わった万能の能力を持つ伝説上の生き物です。鳳凰と対で柄になることが多く、その場合龍は「天子(天皇)」鳳凰は「皇后」の象徴とされることが多いようで、最上の瑞祥(よいきざし)をあらわすとされています。

鳳凰(ほうおう)

龍と同じ中国の伝説上の生き物です。「不老長寿」をねがう吉祥文様です。

和装の文様」より

花喰鳥(はなくいどり)

花や樹の枝をくわえて飛ぶ鳥をデザインした図柄です。

鳥は鳳凰や鶴、その他様々な鳥があります。

起源は古くササン朝ペルシアで使われていた文様が元になっているといわれています。

幸せを運ぶ」縁起の良い柄として古くからつかわれてきたデザインです。

鳥がくわえているものはリボンや組紐のこともあります。


今ほど科学の力でいろんなことが解明されていなかった時代では、身の回りの生き物達を神秘的にとらえ、そこに神様の存在や幸福のしるしを見出していたことがわかりますね。

込められる願いが「長寿」や「夫婦円満」が多いことから、いつの時代も「不老」と「愛」が人間の最大の関心事なのがおもしろいところです。

こんな風に、柄や模様の持つ意味を知って、着物の柄に込められた想いを感じながら一つ一つをみていくと、また違った見え方がしてくるのではないでしょうか。

例えばカップルで着物を着る場合、おしどり柄のものや貝柄のものを選ぶのは、柄のもつ意味を考えればとてもステキだと思いますよ。